相互理解

KFC帰国者新長田交流会-後編(オンライン教室)

KFC帰国者新長田交流会-後編(オンライン教室)

コロナの流行に伴い新長田交流会は通常通りの実施が困難になり、参加を控える方も多くなりました。外出を自粛して、人と話をする機会が減ってしまったという声を聞く中、何かできることはないかと中国のSNS「WeChat」を使ったオンライン教室を始めました。元々は新長田に集まって活動していた人々が、一時的にオンラインを通して繋がり、会話を楽しんだり、日本語を学んだりしています。現在では、毎週一回約10人の方へオンライン教室が行われています。火曜日の朝にふたば国際プラザに行くと、オンライン教室に取り組むスタッフ、季頴さんの姿があります。季さんに、オンライン教室について聞きました。

 

  • 帰国者の皆さんの反応はどうですか?

最初はオンライン授業が始まったときに、参加者たちは画面越しに「好久不見!(久しぶり!)」と満面の笑みで手を振っていました。嬉しくておしゃべりしてしまう人も多くいたため、授業がなかなか時間通りに開始できない時もありました。「授業が始まりますよ」と声をかけて、授業を開始するようにしています。授業が終わったあとも、切らずに続けてビデオ通話している方もいました。

帰国者はコロナ禍で家にひきこもりがちになり、一日中あまり話す機会がないそうです。オンライン授業で外部とネットワーク維持ができるようになるので、毎週参加しているという一世の方がいらっしゃいます。

 

  • これからどうしていきたいですか?

オンライン授業はネットに不慣れな高齢者の帰国者たちにとって、なかなか大変です。何度も試行錯誤しながら授業しています。対面の授業よりオンラインは色々制限があり、意思疎通が難しいです。より多くの帰国者たちに参加するように、なるべく面白くてみんなの興味がありそうな内容をチョイスし、明るい雰囲気を心がけています。オンラインに参加していない方には電話で近況を聞き、参加できる環境であれば、積極的に誘っています。

オンライン教室には、遠方に住んでいる方でも気軽に参加できるというメリットがあります。毎週欠かさずオンライン教室に参加されている帰国者一世の長尾ますみさんから感想文を頂きました。

「斬新な授業方式」

コロナ禍で各地の日本語教室が休みになりました。かつて一緒に勉強していた仲間とは顔を合わすことができず、交流できなくなりました。毎日コロナウイルスの感染人数がだんだん増えるニュースを見て、気分が晴れません。

KFC新長田日本語教室はオンラインで授業をはじめ、帰国者の日本語学習の新しいページをめくりました。授業の時、皆が映像で相手の顔を見て、「あ、久しぶりですね!」と異口同音に言いました。

始まってから7か月がたつ新形式の授業メモをめくると、内容は、日常生活用語から自然現象の解釈、俳句から四字熟語、ことわざまで、本当に多彩です。防災、防疫情報も知ることができました。

授業は毎回20分間くらいで、ちょっと短いですが、覚えやすいです。私のような高齢者にはふさわしいです。

私は、家から新長田教室まで往復で4時間以上かかり、ウイルスの感染のことも心配です。自宅で勉強ができてとても楽です。

コロナ禍は暗いトンネルのようで、出口がまだ見えません。オンライン形式の日本語授業が続いて、ライトのようにトンネルに光をもたらしてくれることを望みます。

 

帰国者の方々は高齢ですが、多くの方がWeChatを使ってやりとりしています。そのため、オンライン教室を始めることができました。扱いに慣れていないけれども参加したいという方には使い方を個別にサポートして、「何回やっても画面をオンにできずに顔が映らない」や「声が聞こえない」などの問題を少しずつ乗り越えてきました。一方で、対面の交流会にもオンライン教室にも参加ができない、参加されない方もいらっしゃり、どのように過ごされているか、継続的なフォローが不可欠な状況にあります。

活動にはいろいろな形があり、社会の状況によって変えなければならないこともあります。実際に対面しての活動にせよ、オンラインの活動にせよ、みんなが居心地よく、ありのままで過ごせる場が常に提供されていることが求められます。