奨学金の背景Scholarship background
今も低くとどまる〈外国にルーツを持つ〉中学生の高校進学率
日本全国の中学卒業生徒のほとんどが高等学校に進学(令和2年度の高等学校等への進学率は98.8%)する一方で、外国にルーツをもつ中学生の高校進学率は依然として低く、80%程度にとどまります。
外国にルーツを持つ高校生は、進学後も文化背景や言語の違いといったハンディを抱えることがあります。
また文部科学省の調査によると、日本語指導が必要な高校生のうち、中途退学率は6.7%に上ります。
日本の高校生全体の中途退学率が1%であることを考えると、外国にルーツを持つ高校生の中途退学率も高い傾向にあるといえます。
〈外国にルーツを持つ子ども〉の背景
1980年代頃から、就労や難民、国際結婚など、 さまざまな事情をもつ外国人が、家族をともなって来日するケースが増えてきました。
その子どもたちは、日本の教育制度の下で「外国にルーツを持つ子ども」として学校に通うことになりました。
その中には、外国で生まれ来日した「外国籍の子ども」もいれば、「日本生まれの子ども」、国際結婚カップルの間に生まれた「ダブルの子ども」、そして最近では「日本国籍の子ども」も増えています。
このように、国籍だけで子どものおかれている環境を想像するのは難しい状況になってきています。
子どもたちの生きづらさ
このように、じつにさまざまな背景をもつ「外国にルーツを持つ子ども」が増えてきています。
そして、彼らは、今なお言語上、学力上、進学上のハンディや生きづらさを抱えています。
日常会話はこなせても、学年があがるにつれて授業で使う日本語がむずかしくなっていきます。
そして、一番身近な大人である家族は、言葉のハンディに加え、家族自身が日本で教育を受けた経験がないため、日本の教育システムについての情報が乏しく、相談にのったり助言をすることが難しいことも多いのです。
「あたりまえに」将来の夢を描けるように!
外国にルーツを持つ子どもが、高校進学を断念する理由はさまざまですが、経済的な理由が大きな位置を占めています。
私たちは、外国にルーツを持つ子どもを対象とした独自の奨学金「定住外国人子ど も奨学金」を通じ、彼ら彼女らに高校進学のチャンスをつくり、将来の夢を描けるようにしたいと考えています。
奨学金事業のしくみ
実行委員会は、奨学金の支給に加えて、さまざまな支援・サポートを行います。
ご寄付をいただいた支援者の方々には、年3回発行するニュースレターで、奨学生の近況や活動報告をお伝えします。
※1文部科学省 外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議(第5回)配付資料
【資料1】外国人児童生徒等の就学・進学機会の確保※別添1、別添3は非公表 (PDF:2.9MB)