相互理解講座第6回「イスラーム教徒の生活と祈り—日本人ムスリムの視点から—」を開催しました2025.03.06

 2025215()午後に、ふたば国際プラザで相互理解講座第6回「イスラーム教徒の生活と祈り日本人ムスリムの視点から」を開催しました。

 イスラームは、多くの日本人にとって最もなじみが薄く、また誤解されている点も多い宗教ではないでしょうか。近年、訪日観光客だけでなく、日本に生きる外国系の人々の間にもイスラーム教徒=ムスリムは次第に増えています。それに伴い、日本国内のハラール対応のレストランの増加し、有数の公共施設や商業施設での礼拝スペースの設置など、イスラーム文化への理解を深める動きも少しずつ進んでいます。しかし、日常生活の中でのムスリムの慣習や考え方については、依然として多くの日本人にとって未知の部分が多く、宗教的価値観の違いが理解されにくい現状があります。

 今回の講演では、貞好先生が日本人として生まれ育ち、30歳目前で改宗したムスリムという立場から、戦争やテロなどに偏りがちな報道では伝えられない、普通のイスラーム教徒の日々の生活や祈りの心、そして信仰がもたらす精神的な支えについてお話しました。イスラームの五行(信仰告白(シャハーダ)・礼拝(サラート)・喜捨(ザカート)・断食(サウム)・巡礼 (ハッジ))を中心に、礼拝の方法やその意義、食事や服装の規定、日常生活の中での実践について、自分の経験を元に具体的な例を交えながら説明しました。特に、礼拝(サラート)については、ムスリムが一日に5回の祈りを捧げる意味や、その時間の過ごし方なども詳しく解説されました。

 また、参加者の皆様との対話の時間も設け、イスラーム教徒の日本社会における立場についての質問にお答えしました。「イスラーム教徒の土葬墓地受け入れ問題について」「ムスリムとして日本で生活するうえでの困難は?」「職場や学校での礼拝の問題」など、多くの関心を寄せられるテーマについて率直な意見交換が行われました。

 講座終了後には「礼拝や喜捨の概念について、イスラーム教の教えがよくわかりました」「お祈りの時に考えていることについて知れてよかった」「イスラームのくらしについて少しわかりました」「サラートの意味について理解できてよかった」などの感想が寄せられました。

 今回の講座を通じて、イスラームに対する理解を深める機会となり、参加者の皆様にとっても有意義な時間となったことと思います。今後も、こうした異なる文化の相互理解を深める場を提供し、多様な価値観を尊重する共生社会の実現に貢献していきたいと考えています。